【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。
内臓脂肪を減らす

肝臓と膵臓が静かに「脂肪化」――こうすれば内臓脂肪を減らせる

もしあなたが、腹部の膨満感や疲労をしばしば感じたり、体重の増加や血糖値の急上昇が見られる場合、それは肝臓や膵臓に脂肪が過剰に蓄積しているサインかもしれません。これらの臓器は静かに、しかし確実にあなたの健康に影響を及ぼしています。しかし、朗報もあります。正しい食事と生活習慣によって、内臓脂肪の蓄積は根本から改善でき、体を本来の健やかな状態に戻すことが可能です。
 

脂肪膵と脂肪肝について

肝臓と膵臓は、まさに体の「スーパーエンジニア」とも言える臓器で、血糖の調整、脂肪やタンパク質の消化、毒素の分解・排出など、多くの重要な役割を担っています。糖分や不健康な脂肪、加工食品を過剰に摂取すると、これらの臓器に大きな負担がかかり、正常な機能が妨げられ、脂肪が蓄積されていきます。その結果、糖尿病や膵炎、肝硬変などの健康障害が引き起こされることがあります。

10年間の追跡研究によると、脂肪膵がない人に比べて、脂肪膵がある人は糖尿病の発症率が高く、高血圧や脂質異常のリスクも上昇していることが明らかになっています。膵臓の脂肪が1%増えるごとに、糖尿病のリスクは7%上がるとされており、脂肪肝または脂肪膵のいずれか一方を持つ人よりも、両方を併発している人の方が糖尿病のリスクは最も高くなります。

脂肪肝や脂肪膵は通常、目立った症状がないものの、以下のようなサインが見られた場合は注意が必要です:

  • 頻繁な腹部膨満感
  • 消化不良
  • 上腹部の痛みや不快感
  • 急激な体重の増減
  • 持続的な疲労感
  • ブレインフォグ(頭がぼんやりする状態)
  • 血糖値の不安定

これらの症状は脂肪肝や脂肪膵の警告サインであり、主な原因は代謝異常にあります。
 

危険因子

まず最初に挙げられるのは、食事の影響です。過剰な糖分や精製された炭水化物の摂取はインスリン抵抗性を招き、肝臓や膵臓に脂肪が蓄積されます。揚げ物や加工食品、特にトランス脂肪酸を含む食品を頻繁に摂取することは、慢性的な炎症を引き起こします。また、過度の飲酒は肝臓や膵臓に直接的なダメージを与え、脂肪の蓄積と臓器の損傷を加速させる原因となります。

さらに、ストレスの蓄積や睡眠不足も重要なリスク要因です。ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増えると、脂肪の蓄積が加速します。特に腹部の脂肪が減りにくいと感じる場合は、長期的なストレスや睡眠の質の低下が関係していることが多いです。

こうした状態を改善せずに放置すると、脂肪肝や脂肪膵はより深刻な疾患へと進行する可能性があります。

第1段階:インスリン抵抗性が進行し、糖尿病を発症

第2段階:慢性炎症が肝臓や膵臓の損傷を引き起こし、膵炎や肝硬変へ

慢性炎症が継続すると、最終的には膵臓がんや肝臓がんのリスクも高まります。
 

脂肪膵・脂肪肝を逆転させる方法

早期に対策を取れば、脂肪膵や脂肪肝は十分に改善可能です。以下に具体的なアドバイスを紹介します。

1.食事の工夫

肝臓や膵臓の修復に役立つ食品を摂取することが推奨されます。たとえば、ほうれん草やケールなどの葉物野菜は、肝臓の脂肪を燃焼するのに役立ちます。

アボカド、オリーブオイル、ナッツ類などの健康的な脂肪も摂取しましょう。これらは抗炎症作用があります。

代謝を促進するために、深海魚や鶏むね肉などの良質なタンパク質を補給することも重要です。

また、緑茶やターメリック(ウコン)などは強力な抗酸化作用とデトックス作用があります。研究によれば、紅茶や緑茶は発酵の1日目と14日目に特に抗酸化物質、特にポリフェノール類が豊富に含まれているとされています。

地中海式食事法は、主に野菜、魚類、ナッツ類を中心とした食生活です。研究によると、植物性たんぱく質やポリフェノールが豊富な食材、マンカイ(ウキクサ)、緑茶、クルミなどを多く取り入れ、赤身肉や加工肉の摂取を制限した「グリーン地中海食」は、他の健康的な食事法と比べて肝臓内の脂肪を2倍減少させ、非アルコール性脂肪肝のリスクを半減させることができると報告されています。
 

2.栄養補助

日常生活において、以下の栄養素を補給することで、肝臓や膵臓の修復をサポートすることができます:

オメガ3脂肪酸:サーモンやチアシードなどから摂取でき、内臓脂肪の蓄積を減少させるのに効果的です。

クルクミン(ウコン成分):炎症を抑え、肝臓を保護します。

シリマリン(マリアアザミ抽出物):抗酸化、抗炎症、抗線維化作用があり、肝臓の保護剤として知られています。

コリン:脂肪の代謝を促進します。研究によれば、食事由来のコリンは、マウスの体脂肪の蓄積を抑え、脂肪細胞の肥大を防ぎ、脂肪組織の炎症反応を軽減することが確認されています。また、肝臓の脂肪蓄積と肝障害を抑制する効果もあります。

これらの栄養素は、食品からの摂取も可能ですが、必要に応じてサプリメントを利用することも一つの方法です。
 

3.運動

適度な運動は脂肪肝やインスリン抵抗性の改善に役立ちます。筋力トレーニングと高強度インターバルトレーニングは、体のインスリンに対する感受性を高め、インスリン抵抗性を軽減します。さらに、研究によると、週に150分間早歩きをすると、非アルコール性脂肪性肝疾患の患者の肝臓脂肪が大幅に減少することがわかっています。
 

4.睡眠の質を上げる

睡眠は体の修復に欠かせません。特に夜11時から午前3時は肝胆の解毒・修復が行われる「ゴールデンタイム」とされており、質の高い睡眠が全身の健康維持に大きく貢献します。

混乱の多い時代でも、「健康第一」の気持ちを忘れずに、日々の生活の中で「健康1+1」を実践していきましょう!

(翻訳編集 里見雨禾)

慢性的な精神、行動、身体の病気を対象とした統合医療医。中国医学の医師。精神科認定医。統合医療の楊研究所とアメリカ臨床鍼灸研究所の創設者兼ニューヨーク北部医療センターのCEO。『Integrative Psychiatry(統合精神医学)』、『Medicine Matters(医学の重要性)』、『Integrative Therapies for Cancer(癌の統合療法)』に貢献。また、ハーパーコリンズの『Facing East: Ancient Secrets for Beauty+Health for Modern Age(現代の美と健康のための古代養生法)』とオックスフォード大学出版局の『Clinical Acupuncture and Ancient Chinese Medicine(臨床鍼灸と古代中国医学)』の共著者。
王佳宜